■『音楽の絵本』とは…
 「音楽の絵本」とは、ズーラシアンブラスをはじめ、動物たちが活躍する本格的なクラシックコンサートです。2001年に誕生して以来、児童劇ともキャラクターショーとも違う独自の世界が話題を呼び、北海道から沖縄まで、日本全国幅広い地域で公演を行って参りました。

どうして『絵本』なのか
 たとえば文学でいいますと、宮沢賢治の童話をそのまま読みきかせても、小さな子どもにはなかなかむずかしいものですが、絵本ならよく理解できます。絵が世界観を作り出し言葉を補足することで、子ども達はそこから文学の世界に入り込んでくることができるためです。
 それを音楽に置き換えるなら、視覚的な世界観を作った上で一流の音楽を奏でるということになると考えられます。幻想的な視覚情報が、子ども達に音楽を聴く姿勢をアフォードするため、子ども達は自然と音楽の世界に入ることが出来るのです。
視覚情報により子ども達の興味を引きつけること。すなわちこれが『絵本』であるゆえんです。

親子の共感と対等の感動から、子どもの感性が豊かに育まれると考えています
 私たちがこのコンサートで実現したいと考えているシーンは、子どもの喜ぶ様子を見て目を細める親の姿ではなく、子どもが嬉しくて親の顔を見上げたとき、親も自分と同じように感動しているといったシーンです。
 このコンサートは、参加型のコンサートではありません。親子が対等な立場でコンサートを楽しみ、家庭に帰ってからも、このコンサートの体験をもとに、豊かな親子コミュニケーションを発展させていく、そんなイメージのコンサートです。
 私たちは参加型のコンサートを否定するつもりはありませんが、日本に一つぐらい、子どももちゃんと最後まで聴くことの出来るコンサートがあっても良いと思うのです。
 一方で、子どもがちゃんと最後まで聴くためには、自然と無理なく子ども達が聴く体勢をとり続けられなくてはなりません。ですから私たちは、演目を何にするかということより、時間とともに変化する子どもの集中力をどのようにコントロールしていくかを中心に、全体の構成を考え、演目を決めていきます。
 このため、空間原理(mythos、pathos、logosの各空間)、ノンバーバルコミュニケーションやアフォーダンス理論を参考にしながら、慎重に全体を計画しています。ですので、『暗いと子どもが怖がるから場内を明るくして』等という、普通に考えれば小さな事柄も、我々には大問題になってしまいます。私たちは、明るい暗いではなく、視覚面の移動と視覚情報の変化と、とらえているためです。このことは、子ども達に『次に何かが起こる』ことを予見させ、集中が自然と高くなる効果をもたらします。
 このように、司会の登場するタイミングや、演目で奏者がスタンドプレイするタイミングなど全て、子ども達の集中力に大きく関わる問題ですし、演奏会の中盤では子ども達がほどよく飽きてしまうことも、全体の構成を見渡したときには必要なため、計画的に飽きるシーンも挿入しています。
 全ては、コンサート終了後に『楽しいね』『嬉しいね』『また来ようね』を子ども達の心に芽生えさせ、コンサート会場を後にした後、お母さんやお父さんと、『とびきりの会話』を楽しんでいただくためです。